お知らせ
2024年07月09日

10回統合病理学教室セミナーとしてジョンズホプキンス大学神経内科池永知誓子先生のセミナーを開催しました

第10回統合病理学教室セミナーとして、ジョンズホプキンス大学神経内科・池永知誓子先生の封入体筋炎と筋病理に関するセミナー(日本病理学会北海道支部共催)を北大医学部百年記念館 大会議室で開催しました。

多くの方のご参加をありがとうございました。
演者;ジョンズホプキンス大学神経内科 池永 知誓子 先生

日時:7月9日(火)17時

場所:北大医学部百年記念館 大会議室(北大医学部本屋正面左手にある木の建物です) 講演タイトル:封入体筋炎の筋における炎症と変性

要旨 :封入体筋炎は、主に45歳以上の成人において、深指屈筋や大腿四頭筋に目立つ筋力低下と嚥下障害を来す緩徐進行性の炎症性筋疾患です。筋病理では、CD8陽性のT細胞による非壊死筋線維や筋内鞘への浸潤像に加え、筋膜直下に散在する縁取り空胞、細胞質内のTDP-43やp62陽性の凝集体などの変性の所見を認めます。封入体筋炎の筋において、炎症と変性のどちらが先に起こる変化であるかは長年議論されてきた点であり、今回は封入体筋炎の症例の臨床病理像の検討や筋を用いた発現解析、患者筋をマウスに移植したxenograftモデルを用いた検討によりその点がどこまで明らかになったかをご紹介させて頂きたいと思います。

参考文献

1. Ikenaga C et al. Clinicopathologic features of myositis patients with CD8-MHC-1 complex pathology. Neurology 2017.

2. Ikenaga C et al. Transcriptomics Shows Overexpression of Cadherin 1 in Inclusion Body Myositis. Ann Neurol 2022.

3. Britson KB et al. Loss of TDP-43 function and rimmed vacuoles persist after T cell depletion in a xenograft model of sporadic inclusion body myositis. Sci Transl Med 2022.

4. Wischnewski S*, Thäwel T*, Ikenaga C*, Kocharyan A*et al. Cell type mapping of inflammatory muscle diseases highlights selective myofiber vulnerability in inclusion body